このページでは、次期社長が抱えている悩みの一つである「どのようにしたら、スムーズに事業承継ができるのか?」

という問題を解決するためのノウハウを解説しています。

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古参社員の扱い方

幹部社員の育て方

仕事で一杯一杯から抜け出す方法

index

  • 事業承継とはこういうもの
  • ちゃんとした形で事業承継を行わないことによる弊害
  • 事業承継を行うにあたっての経営トップに必要な心構え
  • 事業承継を行うにあたっての事前準備
  • 承継後の円滑な経営体制を確立するための事業承継の在り方
  • 中小企業における事業承継体制構築事例
  • 事業承継と株式移転に関する基礎知識(一般的な移転方法とリスク)
  • 事業承継と株式移転に関する基礎知識(リスクを軽減するための株式移転方法)

事業承継とはこういうもの

 中小企業にとって、事業承継は一大イベントです。

  経営トップが変わることで会社の雰囲気が刷新され、良い意味で環境対応が図られ伸びていく会社もありますが、次期社長が孤立してしまい、変化を嫌う人たちが辞めていくことにより、尻つぼみになってしまう会社もあります。

  数々の事業承継問題に立ち合ってきた専門家たちの中にも、後者に属する企業の姿を多く目にしたことがあると口にする人間もいます。

 なぜ、そのようなことが起きてしまうのでしょうか。

 理由は一概には言えませんが、後者に属する企業において、承継する側とされる側の双方が「譲る」、「譲られる」という意識でいたことは間違いのないところです。

 あたかも、モノやサービスを他人に譲る、他人から譲られる、というような感覚で事業承継を進めていたのです。

 

 そもそも、事業承継とは何なのでしょうか。

 経営という観点で言えば、現経営者が担ってきた役割が、現経営者が経営トップの座から退いた後も、つつがなく遂行されるという確信を抱けることのできる環境を築き上げることです。

 

 それでは、誰に確信を抱いてもらうべきなのでしょうか。

 答えは、会社を取り巻くステークスホルダーといわれる人たちです。

 すなわち、利害関係者です。

 

 具体的に言えば、以下のような人たちのことです。

 ・現経営者

 ・後継者

 ・従業員

 ・取引先

 ・金融機関

 ・株主

 ・その他のステークホルダー

 

 事業承継は、現経営者や後継者だけが確信を抱いただけでは上手くはいかないのです。

 それ以外のステークホルダーたちが皆確信を抱ける状態になることで成功するのです。

 だからこそ、「譲る」、「譲られる」といった意識では、上手くいかないのです。

 周囲に対する配慮が置き去りになってしまうからです。

 事業承継後の経営が上手くいっている企業の現経営者や後継者は、「引き継ぐ」という意識を持って、ことを進めています。

 

 事業承継というと、どうしても株式移転のことだとか税金のことだとかに目が行きがちですが、一番大事なことは、次期社長の体制を確立することなのです。

 船頭が変わったとたんに船が沈み始めたのでは、意味がありません。

 ある程度の時間の余裕を持って、ちゃんとした体制を整える必要があります。 

ちゃんとした形で事業承継を行わないことによる弊害(その1)

よくあるのが、能力のない人間を後継者に据えたときの失敗です。
トップが入れ替わったとたん、業績がガタ落ちします。
会社を取り巻く環境は刻一刻と変化し、それに対して最適な対応を図り続けるのが経営なのですから、それを行う能力のない人間がトップになると、会社は環境の変化についていけなくなり、業績も下がり続けます。

こういう能力というのは理屈で勉強しただけで備わるものではありません。
経験を積み重ね、頭と体で覚え、感性を身に着けるしかないと思うのです。
そういう意味でも、事業承継は時間が必要です。

さらに会社のことを第一に考えるのであれば、子供や親族ありきの承継ではダメだと思います。


ちゃんとした形で事業承継を行わないことによる弊害(その2)

後継者が器にあらず業績を低下させることと同じくらいに生まれる弊害は、社内の雰囲気が悪化することです。
後継者と古参の幹部社員との間で軋轢が生じて足の引っ張り合いをすることや社員たちが後継者に不信感を抱くことで生じます。
その結果、社員の士気が低下し、優秀な社員が外部に流出し、業績の悪化へとつながっていきます。
事業承継を行おうとする会社は銀行や取引先などに意識を向けがちになりますが、大事なのは社内です。
社員たちが理解する形で事業承継を行うことが成功の秘訣です。

 

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事業承継を行うにあたっての経営トップに必要な心構え(その1)

「後継者は息子や娘ありきではない」

中小企業の場合は、息子や娘に事業を承継するケースが圧倒的に多いです。
事業承継イコール相続という考え方からです。
しかし、息子や娘に現経営者と同様の器があるかどうかは別問題です。
親子で性格が似ることはあっても、経営者としてふさわしい資質は親子間で似るような性質のものではないからです。

器のない息子や娘が経営を引き継いだら、どうなるのでしょうか。
会社は、急坂を転げ落ちるように沈んでいきます。
従業員の士気が下がり、優秀な人材が辞めていき、取引先や銀行から先行き不信感を持たれ、業績が悪化するという悪循環に巻き込まれます。

実際に、二代目が会社をつぶしてしまう事例は多いです。
苦労をして会社を育て上げてきた人間とある程度育ったものを引き継いだ人間とでは、哲学が異なるからです。
事業承継で一番重要なことは、後継者の器です。


事業承継を行うにあたっての経営トップに必要な心構え(その2)

「自分の価値観を後継者に押し付けてはならない」

会社の舵取りをしなければならないという経営者としてのミッションは経営者が変わっても変化することはありませんが、人としての考え方や価値観は、それぞれ異なります。
そんな中で、後継者が信念と自信を持って経営の舵取りをすることが、承継後の経営安定化の秘訣となります。
しかし、事業承継時に経営トップが後継者に価値観の押し付けを行ってしまうと、事業承継後に新しい経営者(=後継者)が信念と自信を持つことができなくなります。
そのことが、従業員や取引先、金融機関等の目に、経営が不安定であるように映ってしまいます。

経営を行うにあたって何を大事にするべきだといった経営哲学については、ある程度の押し付けを行っても構わないと思いますが、人としての考え方や価値観は押し付けてはいけません。


事業承継を行うにあたっての経営トップに必要な心構え(その3)

「経営トップと後継者との共同作業であるという認識で臨む」

事業承継を成功に導くためには、経営を取り巻くすべてのステークスホルダー(=利害関係者;従業員、取引先、金融機関、株主、地域社会など)からの不安要素を払拭することと併せて、後継者の経営に対する信念と自信を具体化する必要があります。
そうするために、経営トップと後継者とが役割分担する必要があります。


経営トップの役割;すべてのステークスホルダーからの不安要素を払拭できるように主体的に行動すること
後継者の役割;経営に対する信念と自信を深め具体化できるように主体的に行動すること


後継者の役割がおざなりになることで、事業承継後に会社が傾く事例が多く見られます。


事業承継を行うにあたっての経営トップに必要な心構え(その4)

「余裕を持って計画的に進めていくという考え方で臨む」

経営を取り巻くすべてのステークスホルダーからの不安要素を払拭しつつ後継者の経営に対する信念と自信を具体化していくには、長い時間がかかります。
周囲に見えるように物事を進めながら、周囲の反応を確認して、必要に応じて周囲に説明して、軌道修正を行って、といったことを繰り返す必要があるからです。

同時に、経営トップと後継者が常にお互いの見解を確かめ合い、一片の曇りもない状況にしていくことも必要です。
長期的な時間を準備したうえで、計画的に進めていくことが、事業承継を成功させるうえで必要になってくるのです。

 

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事業承継を行うにあたっての事前準備(その1)

「後継者が経営を引き継げる器であるかどうかを確認する」

事業承継に失敗した会社には、甚大なリスクが待ち受けます。
経営力の低下や取引先からの信用失墜、従業員の士気の低下、優秀な人材の流出といった業績の悪化に直結するリスクです。
高業績の企業でも、業績悪化のスパイラルに巻き込まれると、坂道を転げ落ちるように苦しくなっていきます。
中小企業の経営は、トップの采配に左右されます。

トップには、環境の変化に的確に対応しながら正しい決断と行動を図ることのできる能力・資質やリーダーシップが必要です。
これらは訓練で習得できる部分もありますが、限界もあります。
器のない人間は、信頼されるトップにはなることができないのです。

後継者を決めるにあたっては、その人物がトップとしての器であるかを十分に見極めなければなりません。


事業承継を行うにあたっての事前準備(その2)

「経営トップと後継者との間で事業承継を行うことに関する思いを一つにする」

事業承継は、計画的に取り組まないと良い結果は生まれません。
クリアーしなければならない問題がたくさんあり、かつ承継後の体制を認めてもらうために会社を取り巻く様々な利害関係者からの理解を得ていかなければならないからです。
加えて、事業承継への取り組みを行っている間も、会社を取り巻く環境の変化に適合しながら、経営トップが経営の舵取りをし、後継者が学んでいく必要があります。

そんな中、経営トップと後継者との間で事業承継を行うことに関する思いが一つになっていなかったら、どのようなことになるでしょうか?
当然ですが、周囲に「会社はこの先大丈夫なのだろうか?」という不安を与えてしまいます。
最も深刻な問題は、後継者が自分はどうしたらよいのかを迷い続け、いつまでたっても次期経営トップとしての信念や自信を持つことができずにいることで、経営トップも不安で身を引くにも引けくなるといった状態が生じてしまいます。

そのような状態を作らないためにも、
①今後の会社をどのように運営していくのかということについて経営トップと後継者との間で思いを一つにしたうえで
②そのための経営トップと後継者の役割を認識し合い
③後継者が、いつごろまでに、どのような状態になっていなければならないのかを明確にしたうえで
計画的にことを進めていく必要があります。


事業承継を行うにあたっての事前準備(その3)

「経営トップと後継者の共同作業で計画(=ロードマップ)を作成する」

事業承継は、経営トップと後継者の共同作業です。
また、そうでないと良い形でバトンタッチをすることができません。
押しつけややらされている感がある状態でことが進んでしまうと、形だけは承継できたとしても、間違いなく承継後の会社が混乱します。
何よりも、経営トップと後継者が一枚岩になっていないと、周囲に不安が募ります。
そのような部分は、傍から見ているとよくわかることなのです。

そのようにならないためには、どうすればよいのでしょうか。
答えは、経営トップと後継者が、常に、相手がどのような考えでいるのか、相手がどうしたいと思っているのか、を認識し合いながらゴールを目指していくことが必要です。

そうするために効果的な方法が、経営トップと後継者の共同作業で計画(=ロードマップ)を作成するということです。
共同作業で作成したのであれば考え方として共有できているわけですし、進めていくペースや軌道修正を行ことに関しても歩調を合わせることが容易になります。

 

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承継後の円滑な経営体制を確立するための事業承継の在り方(その1)

「承継後に業績悪化という結果を招かないために」

承継後の経営を安定化させるために、言い方を変えると経営トップが安心して身を引けるようになるためには、
①後継者が経営トップとしてふさわしい資質を身に着けたうえで
②経営トップとしての仕事をこなせるようになり
③承継後も柔軟に対応していける環境を構築する
ことが必要です。


後継者が経営トップとしてふさわしい資質を身に着けることに関しては、外部セミナーや経営者同士の交流会への参加などで、経営者として必要な知識や考え方を習得することが効果的です。
このことは、後継者主導で行う必要があります。


後継者が経営トップとしての仕事をこなせるようになることに関しては、経営計画の作成や戦略の策定など経営トップの実務を行うプロセスに参加する機会を後継者に与えて経験を積ませることが効果的です。
このことは、経営トップ主導で行う必要があります。


承継後も柔軟に対応していける環境を構築することに関しては、顧問税理士やコンサルタントなどの外部ブレーンと後継者との間の良好な関係を構築することが効果的です。
どの会社にも外部ブレーンは存在します。
外部ブレーンは経営トップに対して提案や意見を行い、経営トップは外部ブレーンの提案や意見を上手に活用しながら最適な判断を下します。
しかし今いる外部ブレーンは現経営トップとの間で関係が構築された存在であり、承継後も彼らの存在を活用するのであれば、後継者との間の関係を構築する必要があります。
先代のときからの外部ブレーンと後継者との間がしっくりといかずに後継者が裸の王様になってしまい、業績が傾くという事例が多々見受けられます。
後継者が新たに外部ブレーン体制を作り上げるのであれば別ですが、従来の体制を引き継ぐのであれば、相互に信頼し合える関係を構築しなければなりません。
このことは、経営トップ主導で行う必要があります。


承継後の円滑な経営体制を確立するための事業承継の在り方(その2)

「承継後に社内の雰囲気が悪くなるという結果を招かないために」

承継後に社内の雰囲気が悪くなることがあります。
その主な原因は、従業員が不安に感じることと、仕組みや体制が変わることに対する社内からの反発です。

こうなることを防ぐために、次のような対策を図る必要があります。


従業員に不安を感じさせないためには、『後継者が考える承継後の方針や体制』を従業員に周知し、理解させることが効果的です。
後継者がちゃんとした考えで承継後の舵取りをしていくのだということがわかれば、従業員も安心します。
それだけではなく、今後の自分がどうしていくべきなのかということを考えるようにもなり、意識の変化が生まれることもあります。
このことは、後継者主導で行う必要があります。


仕組みや体制が変わることへの反発を防ぐためには、古参社員に対して事業承継に対する理解を得られるよう働きかけて、古参社員を良き協力者に仕立て上げることが効果的です。
変化に対する不満を口にするのは、基本的に古参社員たちです。
慣れ親しんだやり方や考え方を変えることに抵抗を覚えるからです。
いきなり変化すると人は抵抗を覚えますが、変化が必要な理由や変化のプロセスについてのコンセンサスを得ながら変化すれば、人は受け入れます。
このことは、経営トップ主導で行う必要があります。

承継後の円滑な経営体制を確立するための事業承継の在り方(その3)

「承継後に取引先からの信用が低下するという結果を招かないために」

事業承継が行われることに関しては、取引先も不安を抱きます。
中小企業の場合は、信用という部分で取引が続いていることが多いからです。
信用の中には、経営トップそのものに対する信用も含まれます。
約束はちゃんと守ってくれる、品質に手を抜かない、WIN-WINの考え方で接してくれる……などの、長年取引を続けてきたことで分かり合える信用です。

 

そのような不安を抱かせないためには、取引先に対して、今まで培ってきた会社や経営トップとしての大事な価値観を引き継いだ承継がなされるのだということを理解してもらえるように働きかける必要があります。
そうすることで、改めて、取引先との間で取引を続けていくうえで互いに大切にしなければならない部分や互いに共有すべき部分というものを確認し合うことができ、関係をより一層強固なものにすることができます。
このことは、経営トップ主導で行う必要があります。

 

そうはいっても、本当に大丈夫なのかという思いも、すぐには無くなりません。
この部分を解消してもらうためには、後継者が、大事な価値観を理解したうえでちゃんとした経営を行う決意でいることをわかってもらう必要があります。
具体的には、後継者が考えている承継後の経営方針や経営体制などを取引先に対して説明し、理解してもらうことが効果的です。
このことは、後継者主導で行う必要があります。

 

承継後の円滑な経営体制を確立するための事業承継の在り方(その4)

「承継後に金融機関からの信用が低下するという結果を招かないために」

財務基盤の弱い中小企業にとって、いざというときに助けてくれる金融機関の存在は大切ですが、金融機関は甘い存在ではありません。
付き合いが長いからといって、会社の状態が悪くなれば、シビアな対応をしてきます。


そんな金融機関にとって、融資先企業の事業承継は大きな関心ごとです。
経営トップが変わることで会社自体が変化するのではないかという見方をするからです。
外から会社を観察し、スムーズな事業承継がされていないようだと信用を低下させます。


そのような事態を防ぐためには、金融機関に対して事業承継の内容をガラス張りにしたうえで、明確な考えのもと計画的に進めていくのだということを理解してもらう必要があります。

具体的なやり方としては、次のような対応を図ることが効果的です。


①後継者の選定や事業承継時期などに関して、早い段階で金融機関に相談する(経営トップ主導で行う)
②金融機関に対して、事業承継計画の進捗を定期的に報告する(経営トップと後継者との共同で行う)
③後継者が考える承継後の方針や体制を金融機関に周知し、理解させる(後継者主導で行う)
④金融機関に対して株式の移転問題等、承継後の経営体制に不安がないことを説明する(経営トップ主導で行う)


承継後の円滑な経営体制を確立するための事業承継の在り方(その5)

「承継後に後継者が信念と自信を持って臨む経営体制を確立するために」

いざ事業承継がされたのちに、新しく経営トップに就任した後継者の方針がブレまくり、あるいは自信のない表情を表に出すことで、従業員や取引先、金融機関などに不安を与えてしまい、人材の流出や取引の低下、融資条件の引き締めなどの事業リスクを招いてしまうことが見られます。
このことが、事業承継の最大のリスクだと言っても過言ではありません。

 

このことからも、事業承継に関して一番重要なこととは「承継後に後継者が信念と自信を持って臨む経営体制を確立する」ことだということが言えます。

そうするために効果的なことが、次の二点です。

 

一つ目は、承継前に、後継者の手柄が作れる機会を与えることです。
経営の場に参画する機会を積極的に与えながら、経営事項に関する実績を積ませるのです。

二つ目は、承継後に、元経営トップが経営に対する口出しを極力行わないことを心がけることです。
後継者にとって元経営トップは大きな存在なので、口出しし過ぎると、自身の信念が揺らぎ、自信を喪失してしまいます。
そのためにも、元経営トップがアドバイザーに徹することが重要です。

 

当然ですが、これらのことは、いずれも経営トップ主導で行うべきことです。

 

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中小企業における事業承継体制構築事例その1(A社、従業員300人、商社)

・息子が後継者
・大学卒業後、他社に就職し、29歳のときにA社に入社
・5年間、営業業務に従事 → 従業員・取引先との関係構築
・4年間、総務人事・財務の業務に従事 → 金融機関との関係構築
・その後、取締役として、経営企画、マーケティング立案業務に従事 → 経営面での実績作り
・取締役に就任する前から、経営幹部による戦略会議などに同席 → 幹部社員との関係構築


中小企業における事業承継体制構築事例その2(B社、従業員60人、製造業)

・息子が後継者
・大学卒業後、すぐにB社に入社
・7年間、製造業務に従事 → 従業員との関係構築
・7年間、営業業務に従事 → 取引先との関係構築
・その後、取締役として、営業兼総務人事・財務の業務に従事 → 金融機関・幹部社員との関係構築
・取締役に就任後、社内の制度構築等を主導する立場になった → 経営面での実績作り


中小企業における事業承継体制構築事例その3(C社、従業員50人、サービス業)

・従業員が後継者
・資質の見込める人材を積極的に部門責任者に抜擢
・部門責任者の中で優秀な人材を後継者候補に抜擢
・後継者候補に対して、事業計画の策定と進捗管理を課す → 経営面での実績作り
・経営陣と後継者候補による経営戦略会議を、定期的に実施 → 経営面での実績作り

 

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事業承継と株式移転に関する基礎知識(一般的な移転方法とリスク)

 経営トップが所有する株式を後継者へ移転する一般的な方法は、次の通りです。
  ①贈与
  ②売却
  ③相続

 

 しかし、それぞれに次のようなリスクが生じます。

  贈与;後継者に贈与税がかかる

  売却;後継者に株式の購入資金が必要になる

  相続;議決権を行使するのに必要な株式を後継者が継げないケースがある

 

事業承継と株式移転に関する基礎知識(リスクを軽減するための株式移転方法)

 非上場株式の移転に関して、リスクを軽減するための方法をご紹介します。

 ※実際にリスクの軽減につながるかどうかは、会社の株主構成や後継者の事情などによります

◎株式の譲渡その1(基礎控除内での贈与の繰返し)

 年間110万円以内の贈与に関しては贈与税がかからないため、毎年110万円の範囲内で後継者に対して自社株式を贈与することを繰り返して、後継者への株式移転を進める方法があります。

 そうするために、合理的な経費支出や投資を行うことで会社の純資産を圧縮し、自社株式の評価額を下げる取り組みを行う会社が多いです。

 

 非上場株式の評価は、一般的に、以下の方法で行われています。

  ①類似業種の上場企業の株価を基準にして国が定めた計算式で計算する

  ②純資産価格(会社を解散したときに残る純資産価格=時価ベースの資産合計-時価ベースの負債合計-法人税相当額)÷発行済み株式数で

   計算する

   ※一般的に②の方法で計算するケースが多いです

 

◎株式の譲渡その2(報酬の一部を株式で支払う)

 後継者に対する報酬(給与や賞与)の一部を株式で支払うことで、後継者への株式移転を進める方法があります。

 この場合、後継者に所得税がかかります。

 

◎株式の譲渡その3(会社分割を行う)

 会社を分割して、元々の会社(本体)に事業主体を残したまま不要な資産を分割してできた別会社に移すことで、本体の純資産価格を引き下げ、

自社株式の評価額を下げることで後継者が株式を手にするためのハードルを下げる方法があります。

 

◎経営権の譲渡(株式信託)

 経営者と後継者との間で自社株信託契約を結び、配当を受け取る権利を経営者に残したまま、自社株を運用する権利(=経営権)を後継者に信託する方法があります。

 そうすることで、贈与税を発生させずに、後継者への株式移転を進めることが可能になります。

 

 この方法を取ることにより、次のようなメリットが発生します。

  ①後継者の贈与税の負担が軽減される

  ②後継者の株式の買い取り資金が不要である

  ③相続による議決権の分散が発生しない

        ④後継者が経営者としてふさわしくない場合、信託契約を解除することで、株式を移転せずに済む

 

◎経営権の譲渡(株式信託/親子間による節税目的)

 以下のようなイメージで、親子間による節税目的での株式信託を行うことができます。。

 

 株式の信託契約を交わした時点で、親(=現経営者)が「配当を受ける権利」を受け取り、子(=後継者)が「運用する権利」を受け取ります。

    ↓

 その時点で、子(=後継者)に「運用する権利」に係る贈与税が発生します。

 ※贈与対象額  信託株式の評価額  配当を受ける権利部分の評価額

    ↓

 A;「配当を受ける権利」部分が高額であるため、普通に株式を贈与したときよりも贈与税が軽減されます。

    ↓

 親(=現経営者)が死亡した時点で、行使されていない「配当を受ける権利」が相続対象となります。

 ※死亡時の配当を受ける権利の評価額  権利発生時の評価額  権利を行使した部分の評価額

    ↓

 B;親(=現経営者)が「配当を受ける権利」を行使した部分は評価額に含まれないので、相続対象となる株式の評価額は低額となり、相続税が

  軽減されます。

    ↓

 AとBにより、節税効果を得られます。

 

◎経営権の譲渡(持ち株会社の設立)

 具体的な事業活動は行わずに株式を保有することだけが目的の持ち株会社を設立して、元々の会社(本体)を支配することで、株式の移転に頭を悩ますことなく、後継者に事業を承継させることができます。

 →事業承継後の経営者が持ち株会社を経営

 →事業承継後の後継者が元々の会社を経営

 

 株式信託も含めて、経営権の譲渡という形を採用した場合、将来的に経営者に相続事由が発生したときに株式が相続対象資産となってしまうと

いうリスクが生じることがありますが、長い年月をかけて後継者に株式を移転するための時間を確保するという意味合いで経営権の譲渡という手法を採用するケースがあります。

 

◎事業承継税制の活用

 事業承継を対象とした税制の優遇措置を活用することで、贈与税や相続税負担リスクを軽減する形で後継者への株式移転を進める方法があります。

 優遇措置の具体的な内容は、以下の通りです。

 

 ・一人の株主経営者が一人の後継者に自社株式を譲渡する場合に適用されます

 ・贈与税に関しては全額猶予(=支払いを一定期間待ってもらえる)、相続税に関しては後継者が取得した株式の80%までの部分が猶予されます

 ・猶予の対象となるのは、発行済み株式の3分の2までとなります

  ※3分の2を超えた部分は猶予の対象外となります

 ・後継者が死亡し、もしくは第三者に事業承継税制に則って自社株式を譲渡した場合、猶予が免除に変わります

 

 この制度を活用する場合、以下の手続が必要となります。

 

 ・譲渡時に都道府県知事の認定を受け、税務署への申告を行う

 

 ・後継者が贈与税の猶予を受け続けるために、毎年、都道府県に報告書を、税務署に届出書と担保を提出する

 ・事業承継後5年間平均で雇用の8割を維持できなければ猶予が打ち切られる

 

◎事業承継税制の特例措置の活用

 2018年4月1日から2027年3月31日までの間、特例措置として、事業承継税制の内容が緩和されます。

 特例措置の具体的な内容は、次の通りです。

 

 ・複数の株主経営者が3人までの後継者に対して自社株式を譲渡する場合にも適用される

 

 ・贈与税と相続税の猶予対象が発行済み株式の100%となり、相続税の猶予割合も100%になる

 ・雇用の8割を維持できなくても猶予は取り消されない

 

 特例措置を受けるためには、2023年3月31日までに、指定された様式で事業承継計画を都道府県に提出し、2027年3月31日までに

事業承継を完了する必要があります

 ※毎年の都道府県と税務署への手続は従来の事業承継税制と同様です

 

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